受け継いで行く、ということ
梅雨も半ばとなり、まもなく灼熱の太陽が降り注ぐ夏が訪れようとしています。最近では、この季節になると、熱中症で多くの人が倒れたり、これまで日本で見受けなかったデング熱(蚊が媒介するウィルス)など新種の病が日本各地で発症していますので、健康管理には十分に注意するようにしてください。
去る6月21日(日)、2014年度の優秀選手に対する定期表彰式を実施しました。これは府県や市などの大会で優勝し他の選手の目標となる選手を、毎年1回、定期的に表彰するものです。
今年は、奈良県空手道少年少女大会の組手試合をはじめ多数の大会で優勝した水野翔太君を最優秀賞とし、ほか8名の選手を優秀賞として表彰しました。(詳しくは「ニュースリリース」をご覧ください)
彼らのこれまでの努力に心より敬意をはらいたいと思います。また、毎年、このように多数の選手たちが各大会で優秀な成績を挙げてくれることは、私たち指導陣にとってもこの上ない喜びです。ぜひ、2015年度(2015年4月~2016年3月)においても、日頃の練習の成果を、自分自身の明確な足跡として残せるよう、全員が頑張ってくれることを期待しています。
さて、表彰式と同じ日に、各道場から参加した選手で「合同練習・強化練習」を実施しました。
そこでは、大学生が高校生を、高校生が中学生や小学生を指導する姿がありました。自分の習得した技や
形などをいわば“おとうと弟子(いもうと弟子)”に伝授しているということです。今や、インターネットで検索すれば、動画で「○○の形」などを簡単に見ることができる時代になりましたが、そんなものでは到底伝わりきらない、教える側の経験や考えが“おとうと弟子(いもうと弟子)”に伝授されているのです。もちろん、そのなかには、錬聖会としての「伝統」や「教え」も含まれています。いくらインターネットが発達したといっても、この『直接伝授』の情報量には到底およびません。このようにして錬聖会としての血脈が受け継がれて行くんだということを改めて確認できた一日でした。
また、教える立場の“兄弟子(姉弟子)”たちにとっても、教えることで自分の知識や経験を整理でき、しっかりと自分のものにする場となっているのです。「教えることで自分自身も成長する」ということです。彼らもきっと、そのことを実感しているはずです。
ひとは幾つになっても、教えられること・教えることの両方を体験しながら成長しています。
日頃の道場での練習はもちろん大切ですが、より多くの先輩・後輩が集まる行事にも、ぜひ、積極的に参加され、より多くの体験を積み上げるようにしてください。錬聖会としてもそういった場をできるだけ多く作れるよう努力します。みんなで頑張りましょう。
2015年7月1日
日本空手道錬聖会
会長
森 拓生